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「煙を燃やし暖かさが持続する」高性能薪ストーブ誕生秘話

加納製作所の薪ストーブは2008年に「高性能な薪ストーブを作って欲しい」という依頼から始まりました。

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市場調査として、一般的な薪ストーブとはどんなものなのか?を調べ試作に取り掛かりました。

酸素を沢山取り入れて、薪を燃やす=温かい。
わかりやすい熱エネルギーの発生方法です。

この方法で、一般的な薪自体を燃焼させるストーブを作りました。
よく燃えて、温かい。
30分間隔で薪をくべるため、ストーブとの相乗効果でさらに身体が暖かくなります。

これは「焼却炉であって薪ストーブではない。」という結論に達しました。

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焼却炉を薪ストーブとしてしまうと、
薪を運ぶ・割る運動効果で身体が暖かくなるだけでなく、
薪が1束7〜8キログラムで500円とすると、1日2〜3束 1月3万円〜4.5万円 1シーズン12万円〜18万円かかります。
これではお話になりません。

焼却炉とわかった後も欠点を見つけ出すため、色々な薪を燃やして実験を繰り返します。

薪ストーブは鉄でできています。

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鉄の融点は1,538°Cです。
杉・桧・松・竹を燃やすことで鉄の融点に近い温度まで上がります。
様々な種類の樹木を燃やした結果、薪ストーブの上面に穴が空き、薪ストーブ自体が変形しました。
もっとどんな樹木でも燃やせて、塊のまま薪として使えれば、薪ストーブをさらに気軽に使え、燃料費も抑えられます。
薪の種類を選ばず、どんな樹木でも燃やせることも課題となりました。

通常の薪ストーブの欠点はだいたい見えたので高性能な薪ストーブの開発を始めます。

最初に高性能な薪ストーブを作るために、どうすれば良いかを考えました。

  • ・煙が少ないこと
  • ・薪の種類を選ばないこと
  • ・薪の消費が少なく暖かさが続くこと

次に、高性能な薪ストーブを実現させるために、燃えるという現象について考えました。

薪が燃えるというのは、炭化水素が酸素と反応し、二酸化炭素を水へと変化する酸化反応です。
そのとき生成するエネルギーが大量な為、発熱と発光を伴います。(燃焼)
燃えるというのは酸化反応であると考えることができます。

酸化とは、物質が電子を失う化学反応です。

酸素が化合する反応と水素が奪われる反応のことを指します。

例えば酸化鉄は鉄の電子が酸素に移動して、鉄が酸化された物質を指します。
薪を燃やすのではなく、薪から出る物質を酸化させることで、炉内に熱を得ることが出来ます。

薪にタールが含まれています。タールとは芳香族系の炭化水素化合物です。

薪に含まれるタールを燃やすということは、薪を熱すると表面から出るタールを含んだ木炭ガス自体を燃やせば良いという考えに繋がります。
木炭ガスを発生させる温度まで炉内を温め、木炭ガスの発火点まで炉内温度を高めることにより、木炭ガスを燃焼させ、薪自体を燃焼させずに熱を得ることができるストーブを作ることができます。

この発想が、弊社が採用した「乾留燃焼方式」の理論となります。

乾留燃焼方式は、一次燃焼で薪の木炭化、二次燃焼で木炭がじわじわ燃えるという方式です。
一般的な薪ストーブでは鉄の融点に近い温度まで上昇してしまうために燃やせない、杉・桧・松・竹を薪(燃料)にできます。

乾留燃焼方式では外から取り込む酸素を少なくし、炉内に温度を閉じ込める必要があるため炉内にも工夫が必要になります。

炉内温度を維持するために沢山の試行錯誤と工夫が必要でした。

まずは温かい空気を取り入れること。
ほぼ全ての薪ストーブは下から空気を取り入れています。

これは、燃焼室の下から空気を取り入れ、炉内の上から空気を入れることで炉内の温度を下げないという当たり前の考えからの構造です。
できるだけ炉内温度を維持することも考え、現在では炉内に蓄熱セラミックを採用していますが、
そこにたどりつくまでに色々な鉄と石を組みあせて蓄熱効果を得るための実験を行っています。
実験した石の例として、八ヶ岳のマグマから生まれたと言われる諏訪の鉄平石を使った実験も行っています。

炉内温度は薪が木炭化した後でも木炭ガスの発火点以上の温度で維持することができるため、
燃料として薪を追加した途端に木炭ガスが発火します。
これは炉内に蓄熱セラミックを採用している効果と言えます。

前述の通り、加納製作所の薪ストーブは酸化反応を起こすことで発熱させています。

酸化反応に使われる酸素を含んだ空気を極力絞る作りになっています。

炉内では、蓄熱セラミックにより木炭ガス(乾留ガス)を効率よく発生させ、効率よく燃やすことがきます。
これが、加納製作所の薪ストーブが煙が少ないことに繋がります。

また、酸素を極力取り込まず、燃焼で酸素を使い切るため、ストーブが傷みにくい構造になっています。

この段階で、問題点が発生しました。

炉内温度を維持するため、熱を閉じ込める作りにしたため、予想以上にストーブからの熱が外へ出て行きません。
つまり暖かくありません。

温かいストーブとはどんなストーブなのか?を考えました。

  • ・人が温かいと感じる波長である近赤外線から遠赤外線が広範囲に放射されているストーブ

数えきれないほどの熱放射塗料を施策し、薪ストーブから出る波長を色々変えてどの塗料が一番心地よい暖かさを得られるかを比べ、相対的に一番心地よいものを採用しています。
ストーブの外装は鉄板ですが、熱放射塗料を塗ったものと塗っていないものでは暖かさが違います。
この時点で試作ストーブは18台目となりました。

加納製作所の薪ストーブ「座・寛」「寛」「角暖」を商品化させています。

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商品化後も沢山の改良を加えています。
詳しくは書きませんが、煙をより少なくするために三次燃焼や空気の取り入れ方式等、細かい部分の改良を加えています。
特に最上位モデルの「座・寛」は横から薪が入り、燃える様子も見ることができるため、オススメで一番売れていることもあり、
一番改良点の多い商品となっています。

現在の商品ラインナップ「座・寛」「寛」「角暖」の形は機能美を重視していますが、
今後は機能美だけでないデザイン性を取り入れた薪ストーブの商品化を企画しています。

ご期待ください。

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